物流なんでも相談所

自転車も交通ルールを守ろう

2020年5月27日

物流なんでも相談所 Vol.3

 

最近、都心でUber Eats(ウーバーイーツ)というロゴの入った大きなバッグを背負っている自転車をよく見かけるようになりました。自動車配車サービスのUber(ウーバー)の食べ物版で、Uber Eatsに配達パートナーとして登録した一般の人が飲食店の代わりにデリバリーを担当するサービスで、Uber Eatsのバッグを背負っている人はその配達パートナーというわけです。配達パートナーの方は主にバイクや自転車でデリバリーをするようで、コロナで仕事がなくなるなどした人たちが生活のため、配達員をやっているケースも増えてきているようです。

Uber Eatsとはどんなサービスなのか、そして評判などを自転車乗りの目線で考えてみようと思います。Uber(ウーバー)はいわゆるシェアリングエコノミーの先駆け的なサービスの一つで自動車配車サービスシステムを活用、サービスに登録した一般人が自らの自動車を使って乗車客を運べるような仕組みを構築しています。日本では配車サービスは運営できないUberですが、同様のシステムを使用して食べ物のデリバリーを行うUber Eatsというサービスは2016年あたりから日本でも展開しています。皆さんは食べ物のデリバリーと言えばピザ屋さんやお寿司屋さんなどでお馴染みと思いますが、ファーストフードやハンバーガー、ステーキ、スパゲッティなど、普通のレストランで食べるような料理なども配達してくれます。個人的には正体不明の人が食べ物を運んでくるなんていうのはちょっと抵抗がありますが、あくまで一般人のお遣いだと割り切れるような人はUber Eatsを利用するメリットも十分あるようです。

これまで一般的にデリバリーサービスと言えばピザやお寿司くらいしか選択肢がありませんでしたが、Uber Eats登録されたお店であればファーストフードや定食、パスタなどいろいろなお店の料理をデリバリーしてもらえるので、料理の選択肢が非常に幅広いというメリットがあり、出前をよく取る人で定番メニューにも飽きてしまったような人にとってはかなり利用価値の高いサービスと言えるでしょう。これにより自転車やバイクの所有者は空き時間に物を運ぶことで収入を得ることができ、利用者はスマートフォンアプリですぐにUberに登録しているお店に連絡がつながりすぐにピックアップしてもらえるようになり、利用者、運転手ともにメリットがあります。

ニュースで報道されましたが5月12日正午過ぎ、料理宅配サービス「ウーバーイーツ」の宅配バッグを背負った配達員とみられる自転車が、進入禁止であるはずの首都高速道路4号線上りを走行しているのが目撃され、警察に通報される事態となりました。警視庁によれば、この自転車による事故は起きていないといいます。これまでも歩道や車道でウーバーイーツ配達員のマナーの悪さに批判が殺到しています。「首都高を自転車で走る男性の姿はドライブレコーダーで撮影されSNS上にも投稿されていますが、ハイスピードで走る車スレスレの路肩を堂々と走っています。誤って首都高に侵入してしまった可能性も考えられますが、映像を観る限りでは配達時間を短縮するため、故意に首都高に侵入しているようにも見えます。これにネット上ではさまざまな憶測が広がっており、《やはり都内は信号待ちが多いからこのくらいしないと稼げない》《もしやサービスエリアから注文した人がいたのでは?》《ナビに従って走っていると周囲が見えなくて、自分も高速道路に入りそうになったことがある》などとウーバー配達経験者と思しき書き込みも見られました。

自転車は、道路交通法上「軽車両」に属しており、バイクや四輪車と同じ「車両」の仲間です。したがって、道路上の交通ルールを守る義務があり、違反した際には罰則が科せられる場合があります。悪質で危険な運転を繰り返す自転車の運転者に対する法的措置と、自転車に乗るときの交通ルールについてみてみましょう。

警察庁のデータによると、2014年中の自転車が関連する死亡事故件数のうち、約8割が自転車側の違反で発生しています。その内容をみると、周囲の安全確認の怠たりや不適切な運転操作等の「安全運転義務違反」が37.1%で最も多く、交差点を安全に進行する義務を怠った「交差点安全進行義務違反」が9.8%、一時停止を怠った「一時不停止」が9.0%と続き、悪質で危険な自転車の運転が重大な事故に繋がっていることがわかります。2015年6月には、以下に挙げる悪質で危険な違反行為をして3年間に2回以上摘発された自転車の運転者は、「自転車運転者講習」の受講が義務付けられるようになりました。なお、この受講命令に従わなかった場合は、5万円以下の罰金が科せられます。基本は車道を走行しましょうということ。

自転車は「車両」の仲間です。車道と歩道の区別がある道路では、車道を走行しましょう。(但し、運転者が13歳未満または70歳以上の場合、身体に障がいがある場合は、歩道を走行できます。)次に左側を走行しましょう自転車は、道路の右側や中央は走行することができません。車道の左側に寄って走行しなければなりません。逆走の自転車等、違反していることを理解していないケースも多く見られます。そして一時停止して、必ず安全確認を行いましょう。飛び出しや出合い頭の事故を防ぐため、一時停止の標識や停止線のある場所では、一時停止を実行し、周囲の安全を確認してから走り出しましょう。大事なことですが、歩行者を優先し、徐行して走行しましょう。歩道を走行する場合は特にこの点に配慮が必要です。自転車の通行が許可されている歩道でも、歩行者の通行を妨げてはいけません。すぐに自転車を止めることができるスピードで、車道寄りを走行しましょう。また、歩道に人が多いときは、自転車を押して歩きましょう。そして最も大事なことですが、信号を守りましょう。交差点では信号を守り、周囲の安全確認を行ってから進行しましょう。最後に二段階の右折を行いましょう。

自転車もルールを守ってこそ、役に立つ乗り物となります。自転車も交通ルールを守りましょう。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

無料診断、お問い合わせフォームへ