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中国-欧州鉄道「中欧班列」 1~3月2桁増 防疫品輸送・航空代替で

Daily Cargo  2020年4月20日掲載

 

新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるために春節(旧正月)期間が長期化した中で、中国-欧州のクロスボーダー貨物鉄道の実績は2桁増となったようだ。中国鉄路局集団傘下の中鉄集装箱運輸(CRCT)が運行に参画する中欧鉄道列車、「中欧班列(CRExpress)」の1~3月の運行実績は、前年比15%増の計1941便・18%増の17万4000TEUだった。同国の大部分で企業が復業した2月半ば以降に順次運行を再開し、3月は単月で過去最高だったという。中国-欧州の防疫物資輸送に加えて、スペースが激減した中国発着航空便の代替輸送でも活用されているようだ。

■3月は単月過去最高
中国と沿線各国の鉄道関連事業者による大陸橋物流連盟(ランドブリッジネット)や現地報道によると、中欧班列の1~3月の運行実績の内訳は、中国発往行が24%増の1049便・28%増の9万5000TEUで、コンテナの実入り率99.9%、欧州発復行が6%増の892便・8%増の7万9000TEUで、実入り率95.9%だった。
 先月単月の実績は30%増の809便・36%増の7万3000TEUで、便数、輸送量とも単月で史上最高の実績だったという。内訳は、中国発往行が49%増の503便・55%増の4万6000TEU、欧州発復行が7%増の306便・12%増の2万7000TEUで、実入り率は往行100%、復行97.3%だった。

1月後半~2月前半の長期春節中は全土的におおむね停止しているケースが多かったようだが、同国の大部分で企業が再開となった2月半ば以降に順次、運行を始めたとみられる。武漢・湖北省を除く同国全土で、春節期間はおおむね例年の7日間から17日間に延びたが、それでも、1~2月の運行便数は6%増の1132便だった。発着する主要都市の便数は成都(四川省)が1~2月で9割増、西安(陝西省)が1月~3月25日までで2.3倍、厦門(福建省)が1~3月で5割増、長沙(湖南省)が1~3月で4割増などとなったようだ。

中国発欧州向けの防疫物資輸送では、先月21日に義烏(浙江省)発での初の専用列車運行以来、同月に計33万3800件・494トンをイタリア、ドイツ、スペイン、チェコ、ポーランド、ポルトガル、オランダなど各国向けに輸送したようだ。鉄路局集団は中欧班列が通行する3ルートの中国側5国境で現場の安全に努め、ロシア、ベラルーシ、ポーランド、ドイツなど主要沿線各国の鉄道部門と連携して運行の安定化に尽力しているという。中国商務部は今月3日、新型コロナの防疫体制下の中国企業の復業や欧州向け医療・生活物資の輸出で、中欧班列を積極的に活用するよう通知を公布した。

ある現地紙は「(欧州路線の)航空貨物輸送の供給減少、空運の停滞で、中欧班列に爆発的な“波”が押し寄せている」と伝えている。欧州レーンの越境eコマース(EC)需要などを背景に、郵便輸送では「中国郵政号」と名付けた国際郵便の専用列車が各地から仕立てられているもよう。義烏発では先月27日、地場の日用品・雑貨と防疫品を積んだ同列車がスペイン向けに出発。重慶発では今月3日、地場のほか、北京や広東、湖南の両省などからの国際郵便のコンテナ42本と防疫物資のコンテナ2本、計300トン近くを積載した専用列車が出発したよう。重慶発の中欧班列による国際郵便輸送は先月末までに、累計でコンテナ111本分の計166万3000件となったという。

先月に封鎖が解除された武漢(湖北省)は、中欧班列の運行の多い中国内陸の主要都市。同市では先月28日に中欧班列が再開され、今月8日には初の中央アジア路線として、武漢大花嶺鉄道駅発で中欧路線「西」ルートの新疆ウイグル自治区ホルゴス国境経由ウズベキスタン向け列車が出発したようだ。

中国鉄路局集団は「中欧班列は既に、世界の国際輸送の重要な構成要素となった」とコメントしている。なお、中欧班列の昨年の運行実績は、前年比29%増の計8225便・33%増の72万5312TEUだった。内訳は往行4525便・40万2131TEU、復行3700便・32万3181TEU。往復合計の都市別トップ5は成都1576便・13万5132TEU、重慶1507便・13万3331TEU、西安1137便・10万1602TEU、鄭州(河南省)750便・6万757TEU、武漢332便・3万251TEU。1位の成都の運行便数は先月末に累計1万便を突破したとみられる。


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