一見もっともだが、顧客は満足しているか?
2020年4月15日
「愛と繁栄を実現する経営改革」
児童カウンセラーOさんは、「何のために仕事をしているのですか」との問いに対して、「立ち直ってくれた子供の笑顔を見るのが楽しみだから」とお答えになっています。じっさい、関わった子供たちが大きくなると、お礼の手紙や土産物を届けてくれるそうです。
小売業コンサルタントKさんからは、「クライアントの成功する姿が見たい」「そのお手伝いができることが楽しい」とのお答えです。彼もクライアントから厚い信頼を得ておられます。
外食チェーンP社は、原価率が高いのが”売り”だそうで、「原価率を店頭表示」しています。他社は原価率30%なのに、当社は40%と高い食材を使っていますよ。原価の高いものを安くご提供することで、顧客満足を実践していますよと。
みなさんはこのやり方をどう思いますか?
これは一見もっともらしいですが、何か違和感を感じます。なぜなら、すかいらーく創業者の横川竟氏も指摘するように、「アピールは”商品で”すべき」だからです。ご提供する料理や店の居心地などの”商品”が、顧客の要求にマッチすることを、実際にご来店いただき実感していただくことです。そうしてこそ「中身を伴った顧客満足」です。
P社はさらに、「社長自身で旨いと思ったものをお客様にも召し上がっていただく」との方針です。この方針はどうでしょうか?たしかに、社長の味覚が顧客のものと同じならそれでよいでしょう。しかし、同じという保証はありません。また、最初は同じでも、いつまでも同じままという保証もありません。
今日、各社が「顧客満足」を謳っています。しかし、「中身を伴った顧客満足」はわずかで、ほとんどは「形式だけの顧客満足」です。だからOさんやKさんのような例外が目立つのでしょう。両者の違いは影響大です。「形式だけ」でも、高度成長、バブル、○○ブームなどの追い風の時はうまくいくでしょう。しかし「△△ショック」までは乗り切れません。