コロナウィルスと物流への影響
2020年3月11日
物流よろず相談所
中国・武漢を発生源とする新型コロナウイルス(COVID-19)の拡大が止まりません。メディアでは連日のようにダイヤモンド・プリンセス号における乗客たちの感染判明を伝え、また、日本全国で経路不明の感染者増を伝えています。一方猛威をふるう新型コロナウイルスの感染拡大で、中国での生産や物流の混乱が続いていることから、パソコンや衣料品といった国内の商品の供給に影響が広がり始めています。
パナソニックは、ビジネス向けのノートパソコンや電動アシスト自転車のそれぞれ一部について、中国からの部品の調達が滞っているため国内で生産ができなくなっていて、会社が運営するオンラインストアでは在庫切れになる商品が出ているという状況です。一部の温水洗浄トイレやシステムキッチンなども生産を見合わせていて、新規の受注を停止しています。同じく住宅設備メーカーのTOTOとLIXILも、国内で生産している温水洗浄トイレやシステムキッチンなどの一部の商品の納期が遅れが出ているということです。アパレルや衣料分野ではより深刻さをましています。生産の大半を中国に依存しているのがこの分野でもあります。「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは、中国にある工場の生産や物流に遅れが生じているため、今月予定していた一部のTシャツなどの新商品の発売を来月に延期しました。新型コロナウイルスの感染拡大をめぐっては、自動車でも購入者への納車の時期に遅れが出ている車種があり、世界の工場と呼ばれる中国での生産や物流の混乱がさまざまな商品の供給に影響しています。
コロナウィルスは当初は影響も軽微に見られていたためか、その反動として世界中の人々はいま恐怖に震えているようです。政府の打ち出した緊急対策に従うようにイベントや集会などは軒並み中止となり、プロ野球や大相撲などその影響も甚大です。感染したら多くは重症にいたらないとはいうものの、2%程度とされる致死率は決して低いとはいえません。特効薬も存在しないため、人々は不要不急の用事を避けるようになって、それが消費低迷につながり、物流量への影響も出ています。部品や生産材などの物流にあたっている事業者に尋ねると例年の3割減となっているようです。食品などを除く消費材などではその影響も大きいようです。不特定多数の参加者が集まるイベントは、自主的に延期・キャンセルされており、このために調達されていた商材が行き所をなくしているとの話も伝わってきています。
中国人、韓国人そして日本人までもが入国制限を受けており国内外での移動にも支障が出始めています。インバウンド頼みの観光産業だけでなく、サプライチェーンにおける重要な製造拠点である中国の滞りは、中国からの部材調達ができず生産がストップする事態にまでおよんでいます。
昨今の企業活動は、人々の行き来と、世界的につながったサプライチェーンとを前提としているので、サプライチェーンに支障を及ぼす今回の事態は人で言えば血流障害や呼吸困難に陥り始めていると言って過言ではないでしょう。それでなくても米中経済戦争の影響で物流量が減少し減速を余儀なくされた国内物流業。コロナウィルスによって、サプライチェーンの中心拠点である中国の異常は、各国から無数の材料が運び込まれ、それを組み立て加工(アッセンブリー)して輸出していた。各国の出口戦略の場所として使われてきた。その出口が閉鎖されている事を意味することになる状況で、コロナウィルス対策が遅れを取ると絶望的な状況に陥るかもしれません。
このような時こそ、会社の一丸となってムダな費用を削り、売上減少でもなんとか利益を確保できるように戦略を練ることも必要です。風評被害の影響で家庭紙の出荷現場ではパニックも続いているとのこと、運ぶものを探せばこの難局を乗り切る道も見えてくるかもしれません。