「形式病 蔓延中! 新型コロナだけじゃない」
2020年3月4日
「愛と繁栄を実現する経営改革」
「経営理念を作りなさい」と本には書いてあります。コンサルタントや士業もそう指導します。社長さんは、そういうものだと思い込みます。本を見たり他社を参考にして、一日で経営理念を作ります。
例:<山田商店 経営理念>
1.お客様を第一に、2.社員を大切に、3.社会に貢献を。
立派な額に入れて社長室に飾ります。経営計画書にも冒頭に記載します。堂々と銀行へ持って行き、融資を受けます。役所にも持って行き、補助金を受けます。めでたしめでたし。そして社長は自己満足にふけります。「自分はお客様と社員を大切にし、社会に貢献している立派な社長なんだぞ」と。
しかし自己満足だけで実践しません。お客様や社員よりも「自分を大切に」であり、社会貢献よりも「銀座に貢献」です。なぜ実践しないのか?本や他人に言われて「形式的に」作ったからです。体に染みついたことでなく、頭で丸暗記したことだからです。体に染みついたことは、いつまで経っても忘れません。しかし丸暗記だから、作り終えたら忘れてしまい実践段階まで行きつかないのです。
そもそも、経営理念を一日やそこらで作ろうというのが無茶なのです。経営理念というのは、会社が「危機に瀕し脱出した経験から学ぶ「失敗学」」です。それを「後継者に戒め」として伝えるものです。「こうやったから危なくなった、今後は絶対にこういうやり方はするな」と。
一方で、「ああやったから危機を脱出できた、だからああやれ」と。社長在任中に一度経験できるかどうかの稀な経験に基づくものです。
今日のわが国には、「形式だけ」が多く見受けられます。「何のために作るのか、なぜ必要なのか」を考えず、単に「形式的に」作るケースが。これでは、「方向を誤り」かねません。その結果「いくら努力してもうまくいかない」弊害が発生します。そもそも努力の方向が間違っているのですから。
この弊害は「形式病」といわれます。「形式病」で作ったものは効果が出ません。これはなにも「経営理念」に限った話ではなく、「計画」に関すること全般に該当します。「形式病」の弊害は、「効果が出ない」点だけに留まりません。だれでも計画を作れば、次には達成に向けて進んでいるか「管理」したくなります。ここが問題の種です。
計画どおりにいかないと、「何やってんだ!」と社員を叱ります。そもそも計画自体が間違っているのに。こうなると社員の「士気は低下」し、会社はうまく回りません。これは、「いったん立てた計画は必ず達成せよ」との悪しき慣習による弊害です。こちらの弊害は「計画達成病」といわれます。「形式病」と「計画達成病」が重なると、相乗効果で弊害は極めて大きくなります。
今やあちこちで「形式病」と「計画達成病」が蔓延しています。経営者は、知らず知らずのうちに感染されていきます。自分で感染を防ぐのは結構大変です。「外部の人で」感染を指摘してくれる人がいるといいですね。