物流よろず相談所

苦しい中で光を見出そう

2020年2月26日

物流よろず相談所 

 

今や、猛威を振るうコロナウィルスはどうなっていくのだろうか?物流業としてサービスを継続することも難しく感じる今日この頃です。

苦しい経営環境が続く物流業。どうしたら上昇への足掛かりを見出すことができるのでしょうか?これまで何度となく繰り返されたことですが、ムダをなくすことが必要です。無駄をなくすには無駄を見出すセンスを持つことが必要です。言われたことばかりやっているのでは、ムダを発見することはできません。そのためには訓練することが大事です。そしてそれを習慣化させることが必要となるのです。

物流業においてムダの筆頭は事故であることは誰でも同意していただくことができます。事故を起こす人には、特徴があります。決められていることを自分で勝手に変えてしまって、取り返しのつかないことにしているのです。注意散漫な人、自己中心の人に事故が多いのはこのためです。この様な考え方をする人は、事故を起こしてもアンラッキーだったとし思っていません。事故を起こして、お客様に迷惑かけたとか、会社に迷惑かけた、同僚にも迷惑かけたと反省していないのです。相手のせいにして、本当の理由を見出そうとしません。

事故の多い会社に共通することは、①きちんと叱れる人がいない、②事故報告書だけで、その後の追跡とフォローがなされていない、③事故を生かして、安全教育がきちんと行われていない、④プロ意識の欠如が目立つ、⑤小集団活動が行われていない、⑥安全大会など節目の行事をおろそかにしている、⑦ドライバー教育のカリキュラムが存在していない、ベテランも初心者も同じ内容で指導している―など数えたらきりがありません。安全を基盤とする強い組織をまず作り上げることです。毎日唱和する安全方針を掲げ、社員証の裏にも記載すること、安全宣言ステッカーをトラックの後部に表示すること、そして上層による現場指導と安全パトロールを徹底することが必要です。

安全は偶然の産物ではありません。ただ努力あるのみです。その努力を積み重ねることで初めて強い組織ができあがると思います。この基礎がしっかりしていないといくら営業してもムダです。安全という基盤強化から始めてください。

次に必要なことは、社内でのコミュニケーションの徹底だと考えます。物流業は、経営者から幹部へ、幹部から配車マンへ、配車マンもしくは現場の指導者からスタッフへというように上から下へと指示が行われるばかりで、コミュニケーションが十分に取れていないことが多いのです。これが、物流サービスレベルを引き上げ、そして品質を高める上で、経営者が指示したことが現場でなされていない、お客様から言われたことが徹底できていないなど多くなってしまいます。それはどうしてこの様になってしまうのかを考えずに、言われてていることをただ実行するだけという仕事のやり方をこれまで行ってきたことが原因だと言えるでしょう。

ここで、ドライバーやスタッフにまず、「あなたはお客様の役にたっていますか?会社の役にたっていますか?社会の役にたっていますか?」と質問をすることから始めてみませんか? その質問をされた側では、今まで指示されていることを実行するだけであったものが、どうすれば、お客様の望むサービスを実践できるのかを考えてくれるようになります。何と言っても現場のことは現場が一番良く知っているのですから。お客様はなぜ、我々に仕事を任せてくれるのか、何を期待しているのか、いつも考えて行動をすることで、これまで以上のサービスを行うことができるだけでなく、他社との差別化も図れます。当然お客様に認められるサービスを実行することで、会社の業績もよくなり、当然の分け前として社員に還元されることになります。社員は益々やる気になるでしょうね。サービス内容も改善を進めることで更によくなります。これを生かし、独自のノウハウまで仕上げることで、上昇への足掛かりがつかめることが可能となるはずです。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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