物流よろず相談所

事業強化の第一歩はSWOT分析から

2020年1月15日

物流よろず相談所 

 


令和2年、新しい年が始まりました。御社にとって素晴らしい1年としていただきたいと心から思います。素晴らしい会社には素晴らしい人材が集まっていると言われます。事業強化は人材強化から始まるのは当然の事ですね。素晴らしい会社、そのためには強い会社を作ることが必要です。事業の強化を図りたい、しかしどこから手をつけたらよいか判断に迷う―、この様な悩みの声を経営者・幹部の方からよく聞きます。

それならまず、自社の“SWOT分析”を行うことをお勧め致します。できるだけ多くの幹部・社員にも参加していただき、この分析を行うとより効果的です。SWOT、つまりS=強み(Strength)、W=弱点(Weakness)、O=拡大機械(Opportunity)、T=脅威(Threaten)をそれぞれの立場で考えてもらうのです。

ひとつずつ見てみましょう。まず=セールポイント、つまり他社に比べて優れている点はどこか、それを考えることです。自社には必ず他社にまねのできないセールスポイントが存在します。そうでなければ、ここに至るまで苦しい経営環境を勝ち抜くことはできなかったはず。現場の社員がそれを自覚していないのであれば、その=優れている点を認識させるだけで優れた会社へと変わる可能性大です。その優れたセールスポイントを見出せば、それを強化することができるのです。それが強い会社作りの第一歩です。

次に=自社の弱点も理解しておくことが必要です。弱点の考え方は、経営者、幹部、社員それぞれの立場で大きな違いがあります。過去、社員研修などで何度もSWOT分析を行い、弱点をあげていただきました。まず社員の方々の考える弱点は、「ウチには倉庫がない」「車の台数が少ない」―、などに表わされるようにマイナスの現状分析で終わってしまいます。

幹部の方々になるとどうでしょう。多くの場合、ですが「倉庫がなければ他で借りよう」「台数が少ない分、配車などで工夫しよう」など必ずプラスの対応策がセットで登場します。プラスと同様、マイナスは他の会社にも存在するとしたら、自社だけにしかないマイナスを見出すことも大事なのです。悪いところはまず発見しなければ、治療もできませんからね。その弱点が法律違反や経営的に致命傷となるならば修正しなくてはいけません。弱点を克服して強みに変える、言葉では簡単ですが、これにはコストも時間もかかり、費用対効果という点では必ずしも効率的とは言えないのかもしれません。設備投資をしても、費用回収には時間がかかります。

しかし対策はあります。既存施設を持って営業しているライバル企業に打ち勝つには、自社で投資するよりも、よい賃貸物件などを見出し、その部分のマイナスを低く押さえましょう。その他にもプラスポイントを優秀なドライバーや現場品質などで獲得する様に持っていけばよいのです。昨日までの弱点が、今日は強みに変わることも多いにあり得ます。

これに続いて、=どの様な分野でビジネス拡大の機会があるか。どうすれば事業強化を図ることができるかなど、意見を出し合うことが重要です。商品開発には現場の英知が不可欠です。

最後に=脅威、リスクに対する備えが必要です。最近では飲酒運転が原因で事業所停止や許可の取り消し処分を受ける業者も増えています。この他、考えられるリスクへの対応をしておきたいものです。ライバル企業の動向、荷主との関係など多様な点で分析をし、備えをしておきましょう。 強い会社作りの第一歩として、このSWOT分析を活用し、対策を行っていただきたいと思います。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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