徒然日記

一人でいられる能力

2019年12月4日

『徒然日記』 

 

夏から一気に冬になったような陽気の日が続いていますが、お元気にお過ごしでしょうか。

ということですが、今回は「表記タイトル」について考えて見たいと思います。

ご覧になった方も大勢おいでだと思いますが、11月22日(金)~24日(日)に行われた「NHK杯国際フィギュアスケート大会」において、羽生結弦選手が2位の選手に50点以上の大差をつけて優勝しました。それを報じたNHKのブログのキャッチコピーは【羽生結弦ひとり別次元の演技で3大会ぶり4回目の優勝!紀平梨花は2位】でした。

その羽生選手が大けがをしたのは、2年前の同NHK杯の前日の練習時。松葉杖無しでは歩けない状態でしたから、大会は勿論欠場。ところが、それから100日後の昨年2月の「平昌五輪」で、なんと300点を優に超えて、2連覇を果たしました。本人の談話に曰く、「勝ったと思った。マンガの主人公にしても出来過ぎなくらい設定があった。頑張ってきたご褒美なのかな」

そのようなことを思い出しながら、TVを見ていましたが、翌日、このような記事が出ていました。筆者にはお許しをいただいたつもりで(情報元を明示していれば免罪符だと思っていますので)紹介させていただきます。

【まさに完璧な演技だった。羽生結弦選手の繊細かつ大胆な演技の裏に、心理的な強さを垣間見た。(中略)羽生選手は今回、まさに「本番に強く、大舞台に強い」を強靱(きょうじん)な精神力をもって体現した。彼の心理的な強さはどこにあるのだろうか。これまでの言動や振る舞いから、その要素を探ってみたい。一つは、「精神的な孤独力」のように思える。・・・】(藤井靖(明星大学心理学部准教授、臨床心理士)ということで、こうした際に自分を支える一つの要素は【英国の精神科医ドナルド・ウィニコットが言及した「一人でいられる能力」である。】と指摘されていました。

で、この「一人でいられる能力」について藤井准教授はこうおっしゃられています(要約)。それは、引きこもりとか社会的に孤立しているといった状態ではなく、「誰かと一緒に過ごしながらも、自分を他人と違う「個」として受け入れ、他者の助言を受けても常に自分の物差しで物事を考えて行動してゆくことが出来る状態だ」と言うことです。

そして、この能力の高さは、5歳までの親の育て方に起因するそうで、羽生選手のご両親などご家族の養育者としての成果ではないかとおっしゃっておいででした。

それではこの私は?と遙か昔を振り返ってみました。確か作家の三島由紀夫だったと思いますが、「おぎゃあと生まれてきた時のことから記憶にある」とどこかに書いてあったように思いましたが、私は、こうした天才とは次元が違いますので、それほどの昔のことは覚えていません。

しかし、太平洋戦争が始まった3歳児から6歳児の頃の間、親類の家に一人で預けられて(疎開)いました。途中から母親とか弟が加わりましたが、藤井先生のご指摘から思うに、「養育者の成果」とは違った意味で「一人でいられる能力(になるのかな?)」が備わってきたのかもしれません。現在、少なくとも「周囲の雑音はそれはそれとして距離を保つ」ことは出来ているように思います。

さらに藤井先生は、二つ目として「『マインドフルな心の状態』を作る力」を挙げておいでです。これは「今自分がやるべきことに対して、100%に限りなく近く意識を集中できる能力」で、たとえば会社勤めの人が、「この間は大事なプレゼンに失敗しちゃった」(過去への意識)とか「営業先でうまく説明できるかな」(未来への不安)と過去や未来に心がとらわれてしまっては、自分のパフォーマンスを十分に発揮できない。人間ならば当然、過去や未来のことのあれこれと思いを馳せあるいは煩わせることは当然あるだろうが、試合中や仕事中においては、「この『マインドフルな状態』を保つことを、五感を使って高められることが望ましい」と言うことです。難しいですね。そうだ!「くまのプーさん」を買ってきて、結弦的環境に近づくことも、目的成就のための一つの手法ですね!?

話が変わります。アテネ、北京と五輪二大会連続で金メダルを獲得した競泳の北島康介選手のことです。実はその北島を五輪候補選手として平井伯昌(のりまさ)コーチが推したとき、所属先のコーチ全員が反対していたそうです。その理由は「北島よりも速い選手が他にいるから」。にもかかわらず、平井コーチが彼を推した理由は「彼のメンタルの強さ」。「練習によってタイムがだんだん良くなって行くことはあるが、いざというときの国際舞台での勝負は、人間まるごとの戦い“メンタルの強さ”だ」でした。そしてその結果は、ご存じ{ちょー気持ちいい~}でした。御利益にあやかろうと、ご実家の「北島精肉店」で、名物メンチカツを買ってきましたが、「勝つ!」につながるでしょうか。張本さんの方の「喝!」はごめんです。

同じことは、シンデレラスマイル・渋野日向子(シブコ)選手にもいえると思います。あれだけ注目を集めて話題を独占したら、いじめややっかみもあると思いますが、スマイルを絶やさず、駄菓子「タラタラしてんじゃねーよ」を頬張っている姿からは、プレッシャーを感じません。

ということで、私としては「もはや手遅れ」ですが、皆さんは是非とも「一人でいられる能力」を、さらに育てていってください。

当国際物流総合研究所は、それこれにたいして、「何らかの『バックアップ』」をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

著者プロフィール

小泉武衡

職歴
 元 寺田倉庫株式会社 取締役


1964年より「物流業」に携わり、変化する“各時代の物流”を体得するとともに、新たな取り組みとして「トランクルーム」や「トータル・リファー・システム(品質優先ワイン取扱い)」事業に力を入れてきました。さらに、営業・企画・渉外・広報棟ほか、倉庫スペースを利用した「イベント事業責任者」などを歴任し、旧施設の新たな活用、地域開発、水辺周辺の活性化に尽力してまいりました。

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