物流よろず相談所

貢献をキーワードに

2019年10月2日

物流よろず相談所 


物流企業経営において、CSの重要性が見直されています。顧客目線で考える事、すなわち自分が顧客なら、という思考を持つことがサービスを提供する物流事業者にとって重要という事です。多くの物流業では過去の経験やデータで顧客思考を決めがちです。あるいは、顧客である荷主の要請に応えることだけが自分たちの事業として重要な要素との思い込みで、顧客の立場で考えてみる習慣すらなくしてしまっています。荷主から指示されたことを確実に実行することが事業の根本であると常に思い込み、従属的立場に甘んじている、と言えるのではないでしょうか?常に顧客の立場で考えると、見えてくるものも違ってくるのではないでしょうか。既存顧客だけでなく、潜在顧客に着目することも大事です。

本来ならば自社の顧客となっておかしくない荷主が他社を使っているのはなぜだろうか、自社に足りないものとは何か、どうすれば自社の顧客とすることが可能となるのか、徹底して検証しなければならないのです。これからの顧客が求めるものは何かを考える、どうしたら振り向かせることができるか?簡単なことではないですが、いつもお客様の目線で考える習慣を身につけると不思議にこれが見えてくることになります。顧客目線で改善すること、自社の立場や自分の立場で考えないことが基本です。自社の都合で物事を考えることが物流業者の基本的な行動基盤となることも少なくありませんが、顧客が求める価値を見直すと新しい何かが見え始めることもあるでしょう。

事業としての物流業、基本を支えるのは、現場を動かす“人”であります。機会や設備、トラックや荷役機器などのインフラばかりではないことは衆知の事実。その“人”を強くし、育てることで会社も組織も、そしてサービスも大きく改善させ、企業として成長できるはずです。組織の人間関係の基本は思いやりであると言われています。自社ではお互いに“協調性”をもって仕事に取り組むことができているでしょうか?人間はそもそも自己中心になりがちな存在と言われています。自分を大事にするあまり周りの状況判断を誤ることも多いものです。事実誰もが自分を大切にする傾向があることは否めません。

そこで、企業の行動標語として「貢献」をキーワードに打ち出してみてはいかがでしょうか?「貢献」は、自分のためではなく他人や組織のため行動することを意味します。この「貢献」が受け継いでいかなければ、組織は機能しません。組織が必要とする「貢献」とは何かを明らかにし、それを部下に伝える為に具体的なアクションプランを例示することで。確実な実行が生まれ成果につながります。この成果は行動なしで手にすることはできないことも当然の事。人が持つ知識や経験を資源に、「貢献」という仕事の成果につなげていくこと事が重要です。どうやって辿り着くか、目標を明示し、組織の行動に繋げることがベースとなります。目的が明確で、明示された目標と行動内容が誰の目にもはっきりとわかるようにしておくことも大事です。すなわち我々物流という仕事には、常に行動が伴うものです。情報や能力を活用して、目的を明らかにした上で、行動に移していくことで「貢献」することができます。自らなすべき「貢献」を考え、自ら行動を起こす人材が求められている今日、どうやって強い組織を形成していけばよいのか考え直す必要があるのではないでしょうか。

著者プロフィール

岩﨑 仁志

代表主席研究員

職歴
 外資系マーケティング企画・コンサルティングセールス


物流・運輸業界に留まらず、製造業や流通業物流部門などを対象にコンサルティングを行ってきました。国内外の物流改善や次世代経営者を育成する一方で、現場教育にも力を発揮し、マーケティング、3PL分野での教育では第一人者とのお声をいただいています。ドライバー教育、幹部育成の他、物流企業経営強化支援として、人事・労務制度改定に携わった経験から、物流経営全般についてのご相談が可能です。

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