課題解決に有効な理論
2019年9月18日
物流よろず相談所
ドラッカーのマネジメント理論は世界各国で多くの企業が認め、成果を上げています。当然その理論を物流業に応用できぬはずはない、そう思われる業界トップも多いのです。会社の中で最もリーダーシップを発揮しなければならない経営者の、熱き思いに沿うものが、そこにあるのでしょう。
マネジメントとリーダーシップは切っても切れない関係にありますが、経営者の観点から入るならば、まずは“組織が何をなすべきかということを問うべき”というドラッカーの理論に沿って始めてみましょう。ひと口にマネジメントと言っても頂点に立つ方と、限りなく現場に近い位置でスタッフをたばねる方とでは役割が違います。経営者ともなれば、会社という組織が社会や経済界に与える影響も頭に置いた上で、采配をふるわねばなりません。そこでのマネジメントは主に3つの役割を持っています。①組織としての目的を果たすための役割、②働く人を活かすような組織作りをする役割、③組織が社会に与える影響を処理しつつ、社会の問題解決にも貢献する役割。これらが理解できていて、初めて経営者としてのリーダーシップも発揮できる、ということでしょう。
さて先にも述べましたが、このリーダーシップも生産現場近くになってくると少しずつニュアンスが違ってまいります。この場合マネジメントを実践するのは、おそらく“グループ長”とか“リーダー”などと呼ばれる方々でしょうか。時には自らも生産現場の一員に加わりながら直にスタッフをまとめ、リーダーシップを発揮せねばなりません。こちらもまた難しい使命であります。やはりここで重要なのは、スタッフ目線と顧客目線、両方を同時に意識し、理解することでしょう。現場ならではの苦労がここにあります。スタッフに対しては、その成長段階に合わせ、また外部に対してはそれぞれの荷主企業ニーズに合わせ、自らのパフォーマンスも使い分けつつ、リーダーシップを取らねばならないのですから。欧米に比べ日本人はリーダーシップ下手、とよく言われるのは、どうもこのパフォーマンスが苦手な人が多いせいかもしれません。
とりわけ物流業となると、このいわゆる“演技”を不得意とする方が多数派のようです。ある意味納得ですか?しかし業種の違いは多少あっても“人間”を束ね引っ張っていくマネジメントの基本は共通と思われます。その基本を押さえた上で、各々の現場に即したやり方とリーダーの個性による“セルフリーダーシップ”を発揮すれば良いのです。企業のトップにせよ、グループのトップにせよ、“長”という名が付けばそれだけで人の目にとまります。周りへの影響力も、とても大きいものがあります。立場上、決して“負”であってはならないこの影響力をまず認識できれば、マネジメントは成功に近づきます。会社という大きな集団を前進させるためには、社内のグループがそれぞれの長により、まとめ上げられていることが必要です。最終的には利益を生まねばならない企業にとって、“理論”というものはあくまでエッセンスにしか過ぎないかもしれません。ただ色々なシーンによって使い分けるエッセンスは、たくさんあった方が良いのでは?皆様の豊富な経験プラス、信頼できるマネジメント論で、力強い一歩が踏み出せると信じます。
物流現場では様々な問題が起こります。これまで説明したように5Sがその基本ではありますが、これに加えて考えておきたいのがオズボーンのチェックリスト、課題で行き詰まったときに有効です。オズボーンのチェックリストは次の9つの展開を考え、課題を解決するという手法です。
①他の用途(Other Use)今のままで新しい使い道はないか、少し変えて他の使い道はないか、など。②マネ(Adapt)これに似たものはないか、他に似たアイデアはないか、など。③拡大(Magnify)何か加えたらどうか、もっと回数を多くしたらどうか、など。④縮小(Minify)分割したらどうか、やめたらどうか、など。⑤変更(Modify)形式を変えたらどうか、意味を変えたらどうか、など。⑥代用(Substitute)他の材料にしたらどうか、他の人にしたらどうか、など。⑦入れ替え(Rearrange)他の順序にしたらどうか、原因と結果を入れ換えたらどうか、など。⑧逆転(Reverse)役割を逆にしたらどうか、立場を変えたらどうか、など。⑨結合(Combine)目的を結合したらどうか、アイデアを結合したらどうか、など。オズボーンのチェックリストを参考にし、課題に直面し、行き詰まりを感じた時に、この9つの展開を考えることで課題解決方法を見出すことが可能となります。ぜひ、参考にしてください。