経営者インタビュー「物流最前線をみる」

限られた資源での仕事対応が難題 / 安全対策、長年の取り組みで万全

経営者インタビュー ~物流最前線をみる(15)~
ILRS-NEWS Vol.471

 

成田運輸株式会社 武藤常務

御社にとって重要な経営課題は何か。

(武藤常務)ドライバーも車両も限られた中で、仕事をどう選んでやっていくかに頭を悩ませている。かつてはドライバーも車両も必要な時に確保できたが、今はそういうわけにはいかない。採用してもやめる人が多く、車両補充もままならない、協力会社や派遣に頼っても同じ状況だ。

当社は食品関係の荷主が多く、人海戦術で対応するセンターが大半であり、成長性ある顧客にシフトするにしてもどのような業種に振り分けていくか。例えば食品酒類関連卸会社のドライの担当部署はどこも同様に苦戦している。チルド部署は元気がよいが、24時間体制や夜間帯の配送などが必要。ドライを中心にやってきた当社には難しさもある。食品業界の汎用型センターは当日受注の当日配送のセンター納品が主であり、物量の波動も多く、限られた時間内に配送しなくてはならないリスクがある。また日付管理や先入れ先出し、一本単位での細かい出荷作業や割れ物商品を扱うなど他の業種に比べると難易度が高いと感じる。当社は長年、このノウハウを培ってきたので、限られた人材資源を他の業種に流用できないかも検討している。

御社として安全対策にはどのように取り組んでいるのか。

(武藤常務)安全対策については、社内の安全衛生対策委員会で、何十年と取り組んできた。全体の委員長と補佐役、各営業所で配送と庫内それぞれの委員を選任して、営業所ごとに会社の指示事項を周知徹底し、月1回の会議で事例を共有している。センターでは巡回点検した写真付のチェックシートに基づいて改善点を月1回の会議で取り上げ、指摘事項を改善している。長年、安全対策に取り組んできたので、社内意識は高く、事故は配送、庫内ともかなり少なくなった。教育・研修は営業所長の指示でトヨタフォークリフトのスキルアップ研修に定期的に参加させているほか、営業所長には海外研修や3PL協会やJILSの管理士資格を取得すべく研修・試験を受けさせている。

― 働き方改革の取組みの現状は。

(武藤常務)倉庫業務については交代で有給休暇を取得させるのはなんとかできても、配送員を代わりに出すのは難しい。営業所では得意先の休みに合わせて働いているため、配送員が休日以外に休暇を取得するのは現実的には難しく、代替者を育てていく余裕もない。まず顧客が休暇取得する体制になってもらうのが最も良いのだが、まだまだ時間はかかりそうだ。本人も残業が減って給料が減れば、夜間にどこか他社で働いて補充するとかなりかねない。働きたい人は一定の範囲内で残業できるよう、チーム内で認知すれば問題はないと思うのだが。

(聞き手:葉山明彦)


成田運輸株式会社
東京都江東区東砂2-14-8

常務取締役 武藤 道隆
ホームページ http://narita-unyu.co.jp/

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