人材不足の中で、3PLを成功させるには
2019年8月7日
物流よろず相談所
多くの物流企業では人手不足等の制約を強く受けており、業務遂行に利用できる社内リソースの余力は乏しいという状況です。そのため、仮に本格的な新規物流案件を受託しようにも、複数の事業部を横断にして対応せざるを得なくなっているという企業も少ないないでしょう。仮に複数の事業部で同一荷主の業務を分担しているケースでは、窓口が曖昧になることや、総合的な取引採算が不明瞭になるという問題が発生しているケースもあるようです。このような環境下、発展し続けるには、なにをすれば良いでしょうか?
例えば純新規案件をノンアセット型で挑戦することは無謀でしょうか?また、既存施設の機能の中にあるスペースと時間を活用することが可能でしょうか、考えてみることです。多くの物流事業者で3を推進する企業は顧客ニーズを叶えるため、十分な設備と人材を投じているケースが多いものです。すでに獲得できている信用があるならば、事業拡大を図るために必要な施設に高額を投じて、施設を準備することは必要ないのではないだろうかと考えます。
多くの3PL事業を推進する物流企業においては、新しい業務を受託するための要件である「信用(既存もしくは新規の荷主から、この会社に相談してみようと思わせる看板)」と「ネットワーク(輸配送の協力会社、人材派遣業者、倉庫の提供者、有利な資金を提供する取引金融機関)」を持ち、またその関係を活用した事業展開を社外のリソースを活用した「ノンアセット型3PL事業」として実行することができている企業が多いような気がいたします。3PLとして「純新規ノンアセット型の3PL事業」にチャレンジすることはリスクが大きいと考える企業も少なくないはずです。自社インフラや自在であれば、そのやり方が多少無理があっても、社員一丸となって乗り越えることが可能だからです。
しかしながら、ノンアセット型の3PLでは難しいことは多くの企業で証明されています。そもそもノンアセットでの成功体験が無い場合は躊躇することも少なくありません。委託先に依存するがゆえに、受託企業にとってその優れた品質を証明することが難しく、多くの成功事例は輸送など100%傭車で実行した場合などに限られることが少なくありません。成功していてもそれは「物流全体のなかの輸配送部門の一定のコース」での成功でしかない、ということです。また事業遂行上の課題や解決策を複数の協力会社と共有する仕組みが無い。協力会社とKPY分析や業務手順のマニュアル化、PDCA活動などを行った経験が無いなど多様な要因が考えられます。
それではどうやって成功することができるようになるのでしょうか。最善の方法は、ノウハウの積み上げよりも、荷主ニーズを確実に理解し、物流設計をしっかりとすることであると言えます。荷主へ改善できる物流の姿をきちんと見せることが、成功へとつながります。同じく協力会社へ物流設計図を理解させることが肝心となります。まず受注した仕事を誠実に履行し、荷主の価値観や行動原理、その物流の特徴や問題点を精緻に分析を行ないましょう。荷主がビジネスパートナーとして信頼できることを確認したら、同じ荷主にかかわる他の物流企業をライバルとして情報を取集し、その企業の良い点と悪い点を観察し、それよりも優れたパフォーマンスを実行するための仕組み作りをすることです。そうして荷主から現在の業務について信頼を獲得したあと、最終的に3PL事業者として本格的な課題解決提案を行ないましょう。
こうやって解決図を示すことができれば、その方向に向けて社内と同じように協力会社の指導もできずはずです。ノンアセット3PL受託もできないのではありません。