コミュニケーションを見直そう
2019年7月24日
物流よろず相談所
緩やかな景気回復の傾向が物流業に到達するのは常に半歩程遅れます。しかしこの間も会社は利益を生まなければなりません。そして同時に社員を含む会社の大切な財産を守ることを強く意識しておくことが必要です。こんな時に、最悪のムダである事故などによって、お金や時間を失ってなどいられません。ただ残念ながら多くの企業が、現在も事故対策費用として毎年数百万円以上を計上している事実を、皆様も御存知のはすです。一端事故が起きてしまってからの悲惨な状況、少なくとも皆様には決して味わっていただきたくありません。改めてヒヤリハットの徹底や、予防のためのKYT(危険予知活動)に努め、特にドライバーの方々の意識を高めましょう。
次に、この安全に続いて大切なのがコミュニケーションです。大体会社というものは、経営者からから幹部へ、そして現場へと、指示が下へ降りて行くスタイルが多いもの。しかし、会社の利益を生む営業活動に直接かかわっている現場の声が、なかなか上に届かないのはもったいないお話です。この様な会社に限って、肝心の上からの指示や方針を、現場社員が理解していないことが多いのです。これもまた困ったことですね。
“安全”で築いた強い信頼を基盤とし、顧客の望みに限りなく近いサービス品質を武器にすれば、さらに上へと飛躍できます。日頃から営業しながらのマーケティングや、ドライバーやスタッフによる荷主との直接コミュニケーションをとても大切なものと意識しておかねばなりません。このことをぜひ今一度現場の皆様にもお伝えください。上から下へ、下から上へのスムーズな情報伝達は必ず会社を元気にします。そこに感謝とねぎらいの言葉が添えられれば尚良い結果を生むことでしょう。当たり前過ぎるこんな事が幸せを生む、-のかもしれませんね。
複雑な流れの中で生きる物流業者としてどのような戦略を展開すれば良いのか、迷うことも多いはずですが、同じく時代と共にあらねばならないメーカ側も絶えず工夫と変化を続けています。輸配送業界の現場にはこの変化が必須改善の繰り返しとなって及んでおり、これがひいては顧客とスタッフの快適に大きく貢献していることも事実です。普段からも1人1人が、各現場で思いついた小さな改善を実行していく必要もありそうです。物流企業側の例としては以前にも述べたように、今後増やしていきたい女性スタッフのため、そこで使用するピッキングカートやカゴ車を軽量化したり、個人専用のヘルメットを用意したりと女性に嬉しい細やかな配慮をすることで、気持ちよく仕事できる環境を整えていく、などもあるでしょう。現場の力を重視して改善点を探る、という意味では各営業マンが収集する顧客からの情報も重要な意味を持っています。様々な業界において統合や変革が頻繁に行われることもあり、各メーカ共、商品の多品種化や物流を含むシステム変動などの対応に追われることが増えてきました。当然需要予測や生産計画も立てづらくなっている中、メーカと接する営業マンが直近の販売状況を基に重要予測のデータ修正を日々行なうことで、生産計画の変更に役立てることもできます。物流現場におけるマーケティングや営業活動は物流企業にとって深い関連性を持つものとして参考にしたいものです。
一方でお客様は一体どのような会社に満足を感じ、取引きを続けて行きたいと望んでいるのか・・・、企業にとって最も知りたいことのひとつでもあります。弊社が業界内の様々な会合において、しばしば実施させていただく調査の中、ほぼ毎回1位となる答えが“社員の感じが良い”ところであります。中小企業の割合が9割以上を占める物流企業では、その利益率も多くが1%以下。厳しい環境において経営者の力も安定したメンタルのもとで100%発揮できるー、ということでしょうか・・・。社長同様、全社員が快適さを感じる事ができるような各現場の小改善を2019年も繰り返し実施していただきたいと考えます。まず始めには初心に帰って時間管理から見直したいもの。物流業の仕事は段取りと、習慣化により短時間でこなすことが可能となります。仕事の準備や作業の流れも繰り返しの力で良い習慣となり効率化していくことができるのです。上手な時間管理は現状の時間の使い方を記録し、結果を定期的に見直していくことから身に付くようになります。その結果無くても支障のない現場作業があぶり出されドライバーなどの時間浪費につながる仕事を発見することができるようになります。隠れていた問題がはっきり見えるようになると、最適改善も可能でしょう。人手が足りないからこそ、人の力と限られたその持ち時間を最適に活かすー、企業の地盤固めとして是非見直したい取組みですね。