経営者インタビュー「物流最前線をみる」

新たなチャレンジで飛躍期す /本社を横浜中心部に移転

経営者インタビュー ~物流最前線をみる(1)~
ILRS-NEWS Vol.443

 

置田運輸株式会社 置田圭三 社長

-御社にとっていま最も重要な経営課題は何か。

(置田社長)ここ数年来、新たなことに取り組んできたが、社内的にそうした環境が定着したので、チャレンジを加速させて多様性を広げ、老壮青の人材がしっかりと働くことができる会社にしていくことだ。

少し説明が長くなるが、当社は8年前の東日本大震災まで固定した大手荷主にトラックと人を出していた実運送100%の運送会社だった。しかし、東日本大震災に見舞われ、車が止まった時でも社内的に「荷主がなんとかしてくれるだろう」といった危機感のなさに、逆に大きな危機感を抱いた。それまでは典型的な大手依存だったが、これを機に引っ越しや新たな分野に手を広げようといろいろな業種にチャレンジしてみた。

ひとつはシェアサイクル事業だ。横浜市都市整備局とドコモ・バイクシェアと組んで事業部を立ち上げた。横浜市内で自転車を貸し出す事業だが、軌道に乗ってきている。大阪、広島、仙台など地方へ広げようと同じ物流業の知り合いに声をかけている。平塚営業所では大手建材メーカーの倉庫運営を始めたし、建築部材配送の仕事も入って、実運送でも取引先は広がった。それぞれの新業種のノウハウはなかったが、知恵を絞って頑張れば自ずと道が開けることがわかった。もちろん取捨選択してやめた事業もあり、既存荷主の売上は4割程度となったが、新商材が3割台を占めるまで来た。この6~7年でチャレンジ出来る環境が整ってきたので、こうした流れをさらに掘り進めていきたい。いま設計している事業が2つほどあり、積極的に取り組んでいくつもりだ。

― 安全対策ではどのような対応をされているのか。

(置田社長)安全は運送会社としてもっとも大事な事として以前から社をあげて取り組んできた。各部門で月1回の安全会議を定例で行っているほか、新年度となる毎年10月に開く経営計画発表会では、年間の経営計画と共に前年の事故、品質を振り返って策定した経営計画を発表し、会社全体の取り組みを確認する。この年間計画に基づいて各部門が動くことになる。またこの3年間は社員が自主的に安全品質委員会を設立し、2か月1回、安全品質の研修会や社外も参加するセミナーを開催するなどのほか、独自に安全強化週間を作ってビラまきや声をかけるなどコミュニケーションを大切にして安全への取り組みを行っている。

― 社員教育はどのように行っているか。

(置田社長)ドライバーの教育は安全対策に準じて行っているが、幹部は会社の顔になれる人が何人でも育ってほしいので、協会や団体が主催する部会、セミナーに積極的に出している。ともすれば代表者が会社の顔になりがちだが、タレントは何人いてもよい。安全品質委員会でも外部の会でもみな自主的に取り組んでいて、私は最後の挨拶だけするケースが多い。成長を実感しており、戦える環境になりつつある。

-2月1日に本社を横浜の中心部に移したが、その理由は。

(置田社長)自分たちの会社の使命・ビジョン達成を加速させる為、あえて中心部に旗をたてて打って出ようと中区の日本大通りに移転した。シェアサイクルなどこれまでの運送業とは異なる形態の業種に進出したこともある。シェアサイクルは女子高生から70歳代の方まで広く携わっていて、横浜の町づくりという社会性も持った事業だ。気分一新という意味では、今期から新たに青色のユニフォームも導入した。これまで本社のあった阪東橋の社屋は横浜営業所として存続する。
(聞き手:葉山明彦)


置田運輸株式会社
神奈川県横浜市中区日本大通15

代表取締役社長 置田圭三
ホームページ  https://www.okita-unyu.com/

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