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JPトールロジスティクス 付加価値・提案力を重視 売り上げ倍増の1000億円を

日刊CARGO 2019年1月10日掲載

 

日本郵便と子会社の豪トールホールディングス(HD)が昨年10月に折半出資で設立したJPトールロジスティクス(本社=東京都千代田区)は、付加価値のある提案型ソリューションを重視し、事業を展開する。トールのソリューション能力を生かし、トールの既存外資顧客の日本展開を支援するほか、海外進出している日系荷主へのアプローチを進める。設立時に子会社化したトールエクスプレスジャパン(前身はフットワークエクスプレス)の売上高は500億円強。連結売上高は10年後に1000億円を目指す。

JPトールは昨年10月1日設立。代表取締役社長にはSMBC日興証券出身で、日本郵便の小野種紀専務執行役員が就いた。DHLエクスプレス出身でトールHDのマネージング・ダイレクター、マイケル・バーン氏が取締役を兼務する。日本郵便のビジネスは、BtoC、CtoCが中心だ。トールHDのトップが取締役を務めることで、トールの既存顧客に対して、BtoBのソリューション提案面で信頼を確保する狙いもある。

JPトール本体の従業員数は23人程度。陣容の中心は、トールエクスプレスジャパン(大阪市、以下、TXJ)の国際部から異動者が占める。ほかは、日本郵便、トールからの出向者や新規採用者。TXJとの連結での陣容は4059人(出向者含む、18年10月1日現在)。

TXJの沿革をたどれば、1938年10月に創業した東播運輸に遡る。90年にフットワークエクスプレスに社名変更し、2004年に九州産交をグループ会社化。09年10月にトールが買収し、12年3月にTXJに社名変更した。

特積み運送に強みを持つほか、設立経緯から関西や九州に大型のトラックターミナル拠点がある。国際部は基本的にトールが獲得した輸入案件の国内配送対応が中心だった。また、海上の第二種利用運送免許を持ち、一部、輸出フォワーディングも手掛けていた。ただ、売上高自体は「500億円の100分の1程度」(小野社長)。

JPトールは本格的な事業展開に向け、フォワーディング、ロジスティクス、通関関連の免許取得を進める。すでに国際航空運送協会(IATA)のライセンスは取得済み(IATAライセンスコードは「TOL」)。航空の第二種利用運送事業の免許も早急に取得する。

TXJの施設は基本的にトラックターミナルでもあり、3PL対応倉庫ではない。倉庫、トラック、人材面への投資や、保税蔵置場の設置は基本的に、案件ベースで検討、実行する。人材面では、日本郵便の海外勤務希望者、現在の輸配送担当者、3PL担当者らを優先的に活用し、JPグループとして国際物流のノウハウ蓄積につなげる。中途採用を積極的に展開する計画はない。オペレーション面では、フォワーディングについて、トールが世界で活用しているカーゴワイズを日本でも導入済み。

トータルソリューションを
連結売上高の目標は10年後に1000億円を掲げる。内訳は、「イメージとしてTXJが660億円、フォワーディング(FWD)、コントラクトロジスティクス(CL)がそれぞれ160億円。当然、シナジーが3事業にある」(小野社長)。

事業面では、トールが海外で展開中のソリューションのノウハウ、TXJの日本国内の特積みネットワーク、日本郵便のゆうパックを含めたラストワンマイルの輸送ネットワークの組み合わせを強みとする。

営業面では、まず、トールの既存顧客(外資)の日本展開をサポートする。一部始まっている案件は、日本国内のディストリビューション改善の要望があり、搬送ルートの効率化、可視化を図っている。トールのソリューション専門チームがシドニー、シンガポールにあり、シンガポールのチームが支援している。小野社長は「簡単に言えば、日本に工場があり、部品を供給するという話もあれば、工場で組み立てて、日本中にディストリビューションするというものもある。できるところから一部、手掛けている」とする。

また、トールは米フォーチュン誌が発表する企業ランキング「フォーチュン500」に選ばれた企業の中で200社をターゲットとしており、日本企業も含まれる。これら日系荷主の海外案件もターゲットとするほか、大手フォワーダーなどが手掛けない日系中小荷主も取り込んでいく方針だ。

トールHD買収後、国際物流のノウハウ取得のため、日本郵便からトールへの出向者があり、すでにシンガポールなどに配置されている。これら出向者も中心となり、JPトールを含めたトールグループの存在をピーアールする。トールの既存日系荷主案件の対応では、現地で日本人スタッフ担当者を決めており、日本品質のサービス提供も進めている。

小野社長は、営業戦略について、「日系大手フォワーダーなどが手掛ける日系大手荷主案件の獲得は無理だと考えている。ときどき入札に参加させていただいているが、驚くほどの安い値段が提示されている。そこは企業間取引でやられているのだろう」との見方を示す。そのうえで、「フォワーディングだけで勝負というよりは、トータルソリューションで良い提案があれば使おう、また、トータルでコストが低減できれば使おう、といった顧客を狙っていく」とする。


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